社長ごあいさつ
設立以来多くの人から“ロボットベンチャーってなんだろう、ZMPはキャラクター屋さん?”とか“市場にも出てないし、実際何の役に立つのかわからない人型ロボットをつくって会社をやっていけるの?等々、つまり不思議な会社だ”と多数のご質問を受けてきましたので、まずはZMPがどんな会社で、どんな事業をやっているのかを少しでも多くの方に知っていただき、みなさんにロボット産業の応援をしていただきたく、これを挨拶に代えさえていただきたいと思います。

ZMPは、世界初ロボットベンチャーとして、2001年1月に産声を上げました。ここでいうロボットとは、従来の工場の生産現場で働く産業用ロボットではなく、家庭や社会で生活を支援したり、オフィスで受付や案内をしたり、教育やアミューズメント分野、それからサービス業で活躍するロボットのことで、民生用ロボット、パーソナルロボットと呼ばれているものです。

さて、一般にロボットでベンチャーを起こすことはとても困難なことです。理由は、ロボットが様々な高度な要素技術や多数の部品の集合体でしかもそれらを総合的に最適に統合しなければならないわけで、膨大な初期投資が必要になるからです。分かりやすく言うと自動車のようなようなものです。

しかし、資金や人材が少ないベンチャーにもチャンスがあったわけです。ZMPは、最初から最後までやるのではなく、ある部分に全資源を集中させる戦略をとりました。一般に工業製品を造っていくためには、研究、開発、製造というプロセスが必要ですが、私共はこの中で開発に集中したわけです。

例えば研究とは、人がやっていない未知の技術や理論を生み出すものです。未知なものである故、成功確率は高くないわけです。それに実験等に必要な高価な機器、多くの優秀な人材が必要で、ベンチャーにとっては非常に多くのコストがかかるリスクがあります。また、製造は、ご存知の通り工場や生産設備、人材等のコストがかかります。

しかし、ベンチャーでは難しいこれら2つの役割を補うには、日本には十分な資源があります。研究では、例えば二足歩行を例にあげると、早稲田大学は30年も前からやっていますし、現在では様々な大学、研究機関で歩行以外にも視覚や聴覚、それらを用いた認識技術や制御技術など世界に誇るすばらしい研究シーズがあります。また、携帯電話やデジタル機器、自動車、家電製品などに使用されている先端技術を持つ要素部品メーカがたくさんあります。製造においては、小型化・軽量化の技術、精密機械技術や効率の高い生産管理技術が世界的な優位性を持っており、ものづくり日本を支えてきました。

しかし、すばらしい研究シーズと製造技術がたくさんあるにもかかわらず、残念ながらロボットとして最終製品に直接結び付いていないという課題がありました。そこでZMPは、ベンチャーならでわのアイデア、フットワークの良さ、柔軟性を武器に、未だ耕されていない市場の潜在ニーズを察知しこれらの分散した研究シーズ、技術とアプリケーションをインテグレーションする製品の開発に特化したのです。

また、ZMPはどこもやっていないアプローチで事業展開していくのです。研究向けですが、他社に先駆け2001年7月から人型二足歩行ロボットの納入を開始しました。ロボットのレンタル開始も同時期です。また、未だ弊社だけですが、ロボットをキャラクターに見立てて玩具やグッズ、幼児向け絵本などのライセンス事業も同時期にスタートして現在まで様々な関連グッズを生み出してきました。

また、ZMPは総合的な先端技術が必要な人型二足歩行ロボットをフラッグシップとして位置づけています。車で言うとF1のようなものでその人型二足歩行ロボットを開発する過程で生み出された要素技術やモジュールを外販し、またそれらを使ったリーズナブルで実用的なロボットの開発を行っています。例えば現在、人の目のように滑らかに正確に素早く動く制御技術とカメラを使った画像処理技術、そして聖徳太子のように複数の音源を聞き分ける聴覚技術を融合して、インテリジェントなセキュリティカメラシステムを開発しています。その他、人型二足歩行ロボットの技術を切り出せば、様々な人に役立つ、リーズナブルなロボットも実現するわけです。残念ながら現状の技術レベルでは人型ロボットを一家に一体というのは当面困難なことでありますので、近い将来10年後か20年後かわかりませんが、それを夢見て、それまでに要素技術を蓄積し、またそれを使った製品を生み出していくのがZMPの事業形態です。

また、ロボットを造っているという一般的なイメージが、実際我々の目指していること、やっていることと非常に異なるのでこれも説明させていただきます。一般的なイメージとは、機械が中心で油くさく、ただ加工したり機械部品を組み立てているといったものだと思います。ところが実際の開発は先端エレクトロニクス、情報通信、ソフトウェアが中心です。そして製品コンセプト創りには、マスコミ、メディア、広告代理店の方々からトレンド等をヒヤリングします。また、ロボットの外観デザインは、世界的に著名な工業デザイナーである奥山清行氏と、重要なアプリケーションなどのソフトウェアは、マルチメディア、ゲーム等様々なソフト会社やクリエータと、更にロボットのしぐさ、動作に関しては、海外で活躍されたパントマイマーと、等々様々な分野の方とのコラボレーションにより開発を進めています。また、他にももっともっと、我々が未だお付き合いしていない、いろんな分野の方の参加もありうると思います。このようにこれからも、幅広い分野の方々の参加により、みんなで日本発世界初、のロボットを生み出していきたいと思っています。

最後に、幸いにもロボット産業の黎明期に産声を上げたZMPは、これまで培った経験を生かして、将来の日本に新しい産業を創出するための一役を担えるよう、今後より一層の努力をしていく所存ですので、みなさん、ぜひ期待と応援をもって見守って頂けますように、よろしくお願いします。

代表取締役社長 谷口 恒