自動運転・ADASを知る

ADAS(Advanced Driver Assistance System:
先進運転支援システム)を支える技術

ADASの機能を支える技術には、周囲を認識するセンサ、センサが取得した情報から状況を把握し、クルマの制御などを行う車載ECU、車載ECU同士を高速かつ正確に連携させる車載ネットワーク、自車位置を正確に特定する車載ロケータなどがあります。ADA機能の普及に伴い、高級車向けの高価なオプションだけでなく、一般車への採用が進んでいます。またADAS技術は自動運転(AD)の技術と共通の要素が多いことが特徴です。
本ページではADASを支える技術の概要を解説をします。

1. センシング技術

ACCやFCWといった様々なADASの機能を実現するためには、車両周辺の移動物体、構造物、道路形状、歩行者など様々な要素を認識しなければなりません。その外部の環境を認識するためのセンサを「外界センサ」と呼びます。例えばカメラで撮影した画像から歩行者情報を取り出すなど、外界センサが認識したデータを、ADAS機能を実現するために必要な情報に加工するためのアルゴリズムも重要なセンシング技術となります。

さらに車両周辺の環境認識を正確に行うためには、現段階では1つのセンサでは外界を把握しきれないこともあります。そこで様々な外界センサを組み合わせた、センサフュージョン技術の開発も進んでいます。

1-1. レーダー

ADASにおいて、レーダーとは一般にミリ波レーダーを指し、主に周辺物体までの相対距離を計測するために用いられます。ミリ波を用いたセンサはレーザーを用いたセンサに比べ検知距離が長く、全天候性があり、先行車両などの運動予測性能に優れているという特徴があります。また、要求される角度分解能(アンテナビーム幅)に対してアンテナ径が小さく、車両への搭載性に優れています。ミリ波レーダーは主に遠距離レーダ(150m以上の検知性能)として、ACCなどの機能を実現するためのセンサとして各社で開発が進められています。

1-2 ライダー

レーザーレーダとは光を用いたリモートセンシング技術の1つで、パルス状に発光するレーザ照射に対する錯乱光を測定し、遠距離にある対象までの距離や、その対象の性質を分析するものです。日本語では「ライダー(LIDAR)」と呼びます。LIDARはパルスレーザービームが内部の回転ミラーで方向を変えて、周辺エリアを扇状にスキャンします。発射されたレーザー光は物体に当たると反射され反射光はスキャナの受光部で認識されます。主な用途は、前方障害物までの距離の測定、縁石などによる道路形状の認識、反射率を利用した白線認識などがあります。

1-3. カメラ

ADASにおいて利用される車載カメラには、以下の用途があります。
・周囲の視界補助システムとしての機能:アラウンド・ビュー・モニタ、ドライバが車の死角を映像で確認できる、車線変更時における後側方障害物警報など
・バックビューモニターによる駐車支援
・単眼カメラで道路のレーンマーカを検知
・ステレオカメラで前方の障害物や先行者を検知
・速度表示などの道路標識の認識
・歩行者検知
・ドライブレコーダーのようなドライバ・自動車モニタリング
・ドライバーモニタリング技術

カメラには単眼カメラ(モノカメラ)とステレオカメラがあり、それぞれについて以下で解説をします。

1-3-1. 単眼カメラ(モノカメラ)

単眼カメラとは文字通り1つのカメラレンズで機能するものを指します。
距離計測は認識した画像座標の縦方向のピクセル位置から算出しますが、誤差は大きくなる傾向にあります。主な利点としては、低コストで設置でき、設置場所の自由度が高いです。またキャリブレーションを容易に行うことができます。欠点としては認識する対象が限定されることです。 具体的な用途として、車線維持を目的とした白線認識、制限速度などの交通標識を認識して運転者に警告機能、横断歩道認識などに用いられます。

1-3-2. ステレオカメラ

ステレオカメラとは、人間の眼のように2つのカメラで対象を測定し、その視差により制度の高い距離測定を可能にしています。立体物を検知できるため、歩行者、自転車、車両などの様々な物体までの距離や横方向の位置を高い精度で計測できます。このようにして検出した情報を様々に利用できますが、キャリブレーションが難しく、計算量が増加することが欠点となります。具体的な用途として、車両認識や歩行者を認識する際に用いられます。

2. ロケータについて

従来のナビゲーションに使われている自車位置の精度は10m程度ですが、車両走行の自動化が進むと、現在走行している車線の位置や、交差点やカーブまでの距離などをより正確に把握することが必要になります。

特に都市部の高層ビル街などでは衛星信号の受信環境が悪くなり、ADASへの活用が難しいという課題がありました。

この課題を解決するため、運転支援予防安全システム専用のADASロケーターが開発されています。これは米国のGPS 衛星に加えロシアのGLONASSなどの他衛星システムを活用することで、都市部を含め衛星測位率を向上させています。国内においても、準天頂衛星システム「みちびき」の運用準備が進められており、GPSへの活用が期待されています。

さらに、ジャイロセンサーや車速測定からの情報を組み合わせ、高い精度で現在位置を推定できる技術開発が進められています。

2-1. 位置計測センサー

走行中の位置計測のために活用できるセンサーとして、GPSやRTKに対応した位置計測センサーや点群情報を活用可能なステレオカメラや3D-LiDARを販売しており、自社位置を推定するセンサーとして以下の製品がございます。
Position-Z
CAN通信でGPS情報を取得可能な小型GPSアンテナユニット
RTK Position-Z
基地局と移動局を用いた位置計測でセンチオーダーの位置計測が可能に
RoboVision2s
視差、距離計測画像、点群情報が出力可能なステレオカメラユニット
RoboSense LiDAR-16/32B
RoboSense社製の3次元ライダー最大200m先の点群情報を取得

3. 車載ECUについて

今日の自動車は、大半の機能がコンピュータで制御されています。エンジンの燃料噴射の調整、車速に応じたギヤの選択という駆動系の制御から、エアコン、ミラーのリモコンといった確認や快適性に関する機能まで、自動車の自動的に動く装置は、ほとんど全てECU(Electronics Control Unit:電子制御ユニット)と呼ばれるコンピュータで制御されています。車両に搭載されているECUの数は一般的な自動車で約50個、高級車では200個以上あるといわれています。
ADASに用いられるECUは、各種センサーからCANなどの車載通信機能を通じて情報を得て、運転状況に応じてブレーキやエンジン、ステアリングなどを制御するために、他のECUに要求を出す役割を担います。これらの情報を公道なアルゴリズムによる莫大な演算量に基づくので、極めて高性能なECUが要求されます。またADASのECUを構成する半導体には設計自由度の高いFPGAの採用が広がっています。

4. 車載ネットワークについて

上述の通り、現代の自動車には多くのECUが搭載されています。それぞれのECUは、用途や特性に応じて通信プロトコルの異なる複数の車載LANで繋がっています。これらのECUが協調制御して、より高付加価値なADASの機能を生み出しています。 ここでは代表的な車載ネットワークのプロトコルについて、ご紹介します。

・CAN (Controller Area Network)
CANは基幹ネットワークをはじめ、パワートレイン系、シャシー系、ボディ系まで広く使用されている、車載LANの中でも事実上の標準となっているプロトコルです。

・Ethernet
Ethernetは、エンジン、シャシー、ボディなどネットワーク接続された接続電子制御ユニットの故障診断用のプロトコルとして注目されています。

・FlexRay
FlexRayは、次世代X-by-Wireシステム、バックボーンなど、さまざまな用途として注目されている、高い柔軟性・高い信頼性を持つ高速通信プロトコルです。

・LIN (Local Interconnect Network)
LINは、スイッチ入力、センサ入力、アクチュエータ制御など、各種ボディ制御用途に使用されてる、コストパフォーマンスに優れたシングルマスタの車載LANプロトコルです。

4-1. 車載ネットワークに対応したロガーシステム

車載ネットワークに対応したロガーシステムとして、ドイツのTelemotive社製のblue PiraTシリーズのロガーが欧州カーメーカーを中心に採用されております。ZMPでは、blue PiraT2とblue PiraT miniというロガーシリーズを取り扱っております。
bluePiraT2
ハイエンドモデル最新機種 Telemotive社製車載ロガー blue PiraT2
bluePiraT mini
エントリーモデル最新機種 Telemotive社製車載ロガー blue PiraT Mini

5.HMIについて

HMI(Human Machine Interface:ヒューマン・マシン・インターフェース)とは、人と機械が情報をやり取りする為の装置やソフトウェアを総称したものです。自動車においては、ドライバーが操作するステアリング、アクセル、ブレーキや自動車の状態を示す各種計器などが該当します。

もともと自動車の計器はスピードメーターやタコメーター、方向指示器、各種警告灯など、シンプルな機械式が大半でした。しかし自動車のエレクトロニクス化が進み、周辺の状況など、より多くの情報をドライバーに伝える必要が出てきました。

特にADAS に於いては、自動車のシステムから伝達される情報をドライバーが正しく理解し、運転操作に悪影響を与えないようにしなければなりません。情報の特徴に配慮して、それに相応しい視覚や聴覚を割り当てることが重要です。

ADASシステムから伝達される内容には、下記の3種類のレベルが考えられます。
 ・情報提供(交通状況や環境の伝達)
 ・注意喚起(衝突の危険性に関する注意を喚起)
 ・警報(回避操作の指示)
これらは、状況の緊急性(衝突までの余裕時間)や結果の重大性(衝突の有無など)と対応しています。

例えば、衝突防止機能を設計する際は、前車との車間距離や自車の速度に基づいて、衝突までの切迫度や情報の意味をドライバーが正しく理解しなければなりません。提供された情報に基づいて、ドライバーが適切なブレーキペダルやステアリングの操作ができるように、情報の緊急性、重要性に応じた視覚的、聴覚的表示方法を決定しなければなりません。

また、ドライバーの年齢とADASシステムに対する習熟度が、運転支援の効果に影響を及ぼすことが報告されており, HMI 設計には年齢への配慮も必要です。
特に、高齢者の場合は、一度に処理できる情報量に限界があるため,伝達する情報量に配慮し、緊急性・重大性に応じた表示方法の研究も進んでいます。

6. ADASのテストについて

ADAS技術の開発にあたっては、最前線のセンシング技術や、車両の制御など様々な要件があります。センサフュージョン技術の発達により、テスト要件の複雑化が進んでいます。近年の自動車機能のテストはモデルベース開発に基づくHILS(Hardware In the Loop Simulator)が主流となっています。ADAS技術のテストにおいては、複雑な外部環境を高精度に再現できるモデルが求められています。また最終的には公道試験による検証が重要です。ZMPはADAS、自動運転の公道試験について多くの経験があります。モデルベースから公道試験までADAS技術関連のテストについては是非一度当社にご相談下さい。

走行データ計測サービス

ADAS、自動運転開発における製品の評価・実走行中での評価に活用可能なサービスとしてRoboTest(ロボテスト)というサービスがございます。本サービスでは、データ計測の計画立案から計測要件の検討、計測システムの選定やセットアップ、ドライバー手配と走行管理、またデータ計測後の後処理作業まで一貫して対応いたします。

サービスの詳細についてはRoboTest(ロボテスト)紹介ページをご覧いただければと思います。

RoboTest
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走行データのシステム構築&計測をサポート

7. お問合わせ、資料請求

上記や製品に関する問合せ、資料請求については下記よりお問い合わせいただければと思います。
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