「実証実験」とは?宅配ロボットを使った未来のサービスを生み出す取り組み

「宅配ロボットを『試しに』使ってみると…」

2022年は「宅配ロボ元年」と言われ、国をあげて実用化を進めている宅配ロボット。ZMPの宅配ロボ「DeliRo(デリロ)」(以下デリロ)もそのうちの一つです。そして、実用化の前に行われるのが「実証実験」です。ZMPでも数々のパートナー企業とともに実証実験を行ってきました。しかし、そもそも実証実験とは何のために行われるのでしょうか?どのような流れで行われているのでしょうか?デリロ担当のIさんに詳しく聞いてきました。
 

①宅配ロボットの実証実験は何のために実施するの?

 Q. デリロの実証実験とはどのような目的で行われるのでしょうか?

実証実験とは、お客様に宅配ロボットの使い方を体験してもらう場になります。ロボットを導入することに対し意欲はあるものの、価格感やロボットでできることのイメージが湧きにくいというお客様が多いのが現状です。そこで、導入の前段階として実際にロボットを稼働させることにより、使い方の実感を持ってもらうことが実証実験を実施する目的となります。

検証する内容としては大きく2つあります。1つ目は、技術的検証です。これは「本当に自動でロボットが走行できるのか」という技術的な側面を検証するというものです。そして、最近多いのが2つ目のサービス検証です。実際の宅配の流れを考えてみると、注文や受け取りなど、ロボットの自立走行には直接関係ない要素も多くあります。そこで、「宅配ロボットを使った実際の宅配サービスがどうしたら使いやすくなるか」ということを確かめるために検証を行っています。

技術的検証とサービス検証

 Q. 実際に行われた実証実験をいくつか教えてください

まず、2020年8月に高輪ゲートウェイ駅でお蕎麦をロボットでデリバリーする実証実験を行いました。この事例では、屋外の私有地で注文から決済、デリバリーまでを非対面接客かつキャッシュレスの無人デリバリーサービスを提供しました。

    高輪ゲートウェイ実証実験  

2020年10月には、日本郵便様と共に、日本初となる公道でのロボット走行の実証実験を行いました。法規制により、それまでの実証実験では私有地で行っていましたが、この実験では近接監視と遠隔監視両方による初めてのロボット配送を検証しました。

    日本郵便  

2021年2月には、ENEOS様・エニキャリ様と共に、飲食店やコンビニなど複数店舗の商品を宅配ロボットで対象マンションの住民の方々にデリバリーするというサービスの実証実験を行いました。この実験は、一般ユーザー向けに本格的なサービス検証を実施し、公道配送の実用化を大きく進める検証を行いました。

    ENEOS  

そして、2021年12月には、日本郵便様と共に、ドローンから宅配ロボットへ郵便物や荷物を受渡し、無人配送を行うことで、人の手を介さない新たな配送モデルの実証実験を行いました。前回の日本郵便様との実験で法規制の課題に取り組んだため、今回はサービス検証に重点を置いた実験となりました。

 Q. ZMPの宅配ロボットを使った実証実験の特徴を教えてください

まず、様々な企業と共同で実証実験をしているということがあげられます。他社では、自社のみの実験や特定の企業間のみでの実験が多い傾向にあります。それに対し、ZMPは様々な企業と実証実験を行うことにより、幅広い技術検証やサービス検証をスピード感を持って行うノウハウがあることが特徴です。

もう1つは、「ROBO-HI(ロボハイ)」というクラウド管理プラットフォームです。ROBO-HIは、ロボットマネジメントシステムとして、ZMPが自社開発したクラウドシステムになりますが、すでに機能としては遠隔監視やロボット管理機能だけでなく、外部システム(注文サービスやエレベーターシステム等)と連携し、人が介在しないサービスオペレーションを実現することができます。そのため、実証実験を経て、より良いサービスオペレーションを検証する土台があります。
クラウド管理プラットフォーム

②気になる宅配ロボットの法規制とは?

 Q. 宅配ロボットと法規制の関係について教えてください

先ほどから少し出てきている「近接監視」と「遠隔監視」が関係してきます。近接監視とは、緊急時に備えてロボットの近くに監視する人がついている状態で走行することであり、遠隔監視とは、宅配ロボットから離れた場所でのみ監視をしている状態になります。

2020年11月以前は、法律により宅配ロボットの公道での走行は認められていなかったため、実験をするためには警察からの指導を受けながら実施する必要がありました。このような状況での公道走行実験を積み重ね、関係省庁との規制緩和に向けた協議にZMPも積極的に関わっていきました。そして、2020年12月には、近接監視による走行という条件では法的な規制を受けずに宅配ロボットを走らせることができるようになりました。

もちろん規制緩和後も宅配ロボットを公道走行する際には警察への事前の情報提供をしていますが、公道を使った実証実験はかなり実施しやすくなりました。その結果、最近はサービスを検証するための実証実験が増えてきています。

③宅配ロボットの実証実験で気づいたこと

Q. これまでの実証実験を通して、どのような気づきがありましたか?

まず、実証実験を重ねるにつれて、「今まで走行が難しいと思っていた道が、実は走行できた」という気づきがありました。走行可能エリアが増えることで、宅配ロボットの可能性が広がっていくことを日々実感しています。

また、サービス検証を重ねることで、デリロのボックスは縦よりも横の方が使いやすいという意見をいただき、2021年11月には横型ボックスのデリロを販売するに至りました。

横型デリロ

サービスの面でも、宅配ロボットの開閉方法がQRコード以外にもあった方がいいのではないか、という気づきがあり、今後実証していくことを検討しています。また、荷物を受け取るお客様が先に受け取りポイントに到着し、宅配ロボットを待っているという傾向があることもわかりました。

このように、実証実験を通してしか得られないたくさんの気づきをもとに、デリロの実用化に向けたサービスや機体そのものをアップデートしています。

④宅配ロボットを使い始めるために必要なこととは?

 Q. 宅配ロボットの実証実験までの実施するまでの流れを教えてください

まずは、お客様からお問い合わせをもらいます。宅配ロボットはまだ使い方の実感が湧きにくい製品であるため、お問い合わせの段階では漠然とした状態であることが多いです。そこで、ZMPの技術や法規制などの知見をもとに少しづつ話し合いを行い、お客様がやりたいことや実施スケジュールを具体化していきます。

実証実験の内容が決まると、必要に応じて警察との協議や、サービスの技術開発を進めていきます。この中には、実際に宅配ロボットを走行させたい現地でのマップ作成やルートの調整といったセットアップ作業も必要になってきます。そして、最終的に実証実験の当日を迎えることになります。

実験までの流れ

 Q. デリロは今後どのように発展していくのでしょうか?

ハードウェアにおいても、ソフトウェアにおいても、今のデリロが正解であるとは思っていません。今後の方針としては宅配ロボットを使ったサービス検証を繰り返していき、「宅配のために必要な機能が本当にそろっているのか」ということを意識した実証実験を行っていきたいと考えています。

まとめ

宅配ロボットを使った宅配サービスという日本でまだ誰もやったことのない領域を開拓しているのが、デリロの「実証実験」でした。今後も技術とサービスの両輪でより価値のある発展を目指すということで、とてもわくわくするお話でした。

ZMPでは、宅配ロボットを使った未来のサービスを一緒に作るパートナーを募集しています。少しでも興味のある事業者様・自治体様はお気軽にお問い合わせください。

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