倉庫・工場で自動運転?物流支援ロボット「CarriRo」の仕組みに迫る

「選ばれる理由は、自動運転で培った『技術力』でした」

2008年以降、車の自動運転を開発してきたZMPが、Robot of Everythingというミッションを2014年に掲げ、人の移動のみならず、物の移動も自動化するために最初に開発したのが物流支援ロボットの「CarriRo」(以下キャリロ)です。キャリロは物流の省人化・無人化を促進するロボットとして数々の機能を持ち、今(2021年12月現在)では300社以上に導入されています。今回は、便利な機能の裏にある技術的な「仕組み」を、キャリロ事業部長の笠置さんにわかりやすく聞いてきました。
 

①他社にはマネできないワケがあった

編集部:

キャリロの他社にはない強みはどこにあるのでしょうか?

笠置さん:

大きく3つの理由があります。1つ目は「導入のしやすさ」です。これまでのAGV(無人搬送車や無人搬送ロボット)は、床に磁気テープを張り、数か月かけて導入するものが一般的でした。これでは物の配置が常に変化する倉庫・工場には対応することが出来ません。​​​​​​一方キャリロは、簡単に設置できるランドマークを張るだけでルートを決めることができるため、工事もなく、変化にもすぐに対応できるという特徴があります。

笠置さん:

2つ目は「拡張性」です。これまでのAGVは、導入した時点で出来ることが決まってしまいその後のバージョンアップが出来なかったり、たくさんの機能をもったフルパッケージのみの販売のため、使わない機能が無駄になってしまうという課題がありました。キャリロでは、導入の際には必要な機能のみで1台からでも販売しています。そして、もし追加で機能をつけたい場合は、導入後でも好きなタイミングで拡張することができるという仕組みになっています。拡張機能の例としては、搬送に付随するエレベーターやシャッター連携、クラウド管理のシステム(ROBO-HI)などがあります。

笠置さん:

3つ目は「コストパフォーマンス」です。ZMPは既に自動運転という最先端技術のノウハウを持っています。他社であれば一から開発しなくてはいけない技術も、自動運転の要素技術を使うことで比較的安価に開発することができます。そのため、最大限の効果をリーズナブルな費用で導入可能です。

②キャリロ独自の追従機能と自律移動モード 

    追従機能「カルガモモード」の『技術』  

編集部:

キャリロの便利な追従機能「カルガモモード」はどのような仕組みで動いているのでしょうか?

笠置さん:

カルガモモード」はキャリロがビーコンに反応して一定の距離間隔で追従する機能です。

笠置さん:

このビーコンからは赤外線が出ており、キャリロの前方についている黒い目のようなステレオカメラで赤外線を読み取っています。二つのカメラで読み取ることによって、ビーコンの位置と距離がわかり、一定の距離を保ちながら走行するように制御することで追従機能が実現できるのです。

笠置さん:

さらに、人が違和感なく使えるようにするために「滑らかな制御」がされています。例えば、単純に距離だけを保とうとすると非常に直線的な追従になってしまいます。その途中に人が曲がると斜めにショートカットをした追従になり、その経路に壁がある場合は止まってしまいます。そこで、ビーコンの「軌跡」を追うアルゴリズムを組むことで、人に近い滑らかな動きができるようになります。これも自動運転開発の中で培われた技術であり、ZMPの強みとなります。




  
  「自律移動モード」の『技術』             

編集部:

キャリロ独自のランドマークを使用した「自律移動モード」はどのような技術が使われているのでしょうか?

笠置さん:

ランドマークというのは、縦10cm×横1mのシールのようなものです。その上には「直進、曲がる、止まる」といったアクションを表す2次元マーカーが印刷してあり、キャリロに搭載しているカメラで読み取ることで次の行動を決めていきます。

これを床に張りつけ、キャリロがその上を走行することで指示を読み取って移動します。これが自律移動モードです

ランドマーク
自律移動モード

笠置さん:

ランドマークを読み取ることができないと作業が止まってしまうため、読み取りの信頼性を向上させることには非常にこだわりました。

もしも、何の工夫もしていないキャリロが、ランドマークの上を走行するとします。するとキャリロ自身の陰で暗くなってしまい、マーカーをカメラで読み取れなくなってしまいます。これを改善するため、LEDライトで常に床を照らすという工夫がされています。また、ライトの当て方によっては反射して読み取れなくなってしまうため、入念な角度の微調整がされています。

さらに、ランドマークの読み取り後、まっすぐ次のランドマークへと進む直進性も大切になります。この直進性を実現するため、キャリロではランドマークへの進入角度が異なっていても正しい進行方向へ修正する技術があります。

③3つの機能を使い分ける物流支援ロボット 

編集部:

キャリロの「Hybrid SLAM」とはどのようなものでしょうか?

笠置さん:

一般的に従来のAGVは、正確に直進や停止ができるものの、動きの柔軟性に欠ける「ライントレース方式」か、床に何も貼らずに柔軟にルートを決められるものの周囲の環境変化で動作が不安定になってしまう「SLAM方式」のいずれか一つを採用するケースが殆どでした。それに対してキャリロは、動作の安定性と動きの柔軟性を両立する「ランドマーク方式」を採用することによって比較的どのような環境でも導入しやすい方法として支持されていました。しかし、現場によっては正確に直進や停止をしたい、又は床に何も貼れないようなケースもあり、そのニーズに応えるために1台でそれら3つの方式を使い分けることができる「Hybrid SLAM」という機能を提供することになりました。

編集部:

「SLAM」機能はどのように実現しているのでしょうか?

笠置さん:

「SLAM」とは「Simultaneous Localization and Mapping」の頭文字であり、周りの環境の特徴的なポイントとなる「特徴点」を捉え、その点の位置関係から自分がどこにいるかを把握して走行する機能です。一般的なSLAMでは、平面の特徴点を捉えるレーザーセンサーの「2D-LiDAR」を使うことが多いですが、キャリロではカメラを使い、より多くの特徴点を捉えることができる「Visual SLAM」を採用しています。カメラで認識できる「特徴点」とは、物体だけではなく、壁の色の違いといった人の目に近い違いを捉えることができます。

空間の特徴点を抽出するイメージ図

笠置さん:

倉庫・工場は棚の位置や物の量が日々変化する環境であり、2D-LiDARのように捉える「特徴点」の数が少ないと自律走行に影響が出てしまいます。一方、精度が高く自動運転に用いられる3D-LiDARは高価であり、採用は難しいです。そこで、比較的安価で多くの特徴点を捉えることができる「Visual SLAM」を採用しています。しかし、これには高い画像認識の技術が必要であり、自動運転のノウハウがあるからこそ実現できる機能なのです。

まとめ

今回は「自動運転」の技術を持っているZMPだからこそ実現できる物流支援ロボット「キャリロ」の機能を詳しく聞いてきました。

「そろそろ搬送を自動化したい」「うちでも導入できるかな?」「実際に体験してみたい!」など
キャリロ導入や体験のご相談を、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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